作曲家創作漫画同人誌 ムソルグスキー/組曲「展覧会の絵」 を公開、前回から続き。
謎の画家ガルトマンと出会ったムソルグスキーは・・・




(マンガパートはここまで。次回「展覧会の絵」の絵についてコラムに続く)
ムソルグスキーの遺稿を整理しまとめたリムスキー=コルサコフ。
後に、彼がムソルグスキー(と同じくその後急逝した「五人組」の一人ボロディン)を悼み、オーケストラのための序曲「ロシアの復活祭(ロシアン・イースター)」という作品を作曲し捧げています。
ロシア正教の聖歌を背景に、夜を徹しての神秘的な祈りの晩から、やがて日が昇りハリストフ(キリスト)が朝日と共に復活する様子を輝かしく描いた、隠れた名曲です。
この曲にはムソルグスキーがこだわり続けていた「ロシア的」なるものの一側面を描いたものだと言われています。
リムスキー=コルサコフ/序曲「ロシアの復活祭」
https://www.youtube.com/watch?v=rXR0tloMmoo
病床にあった晩年のムソルグスキー像を描いた有名な絵画があります。
イリヤ・レーピンというロシアの移動派画家によるものです。
それまでは貴族たちの肖像画ばかりかいていたが、これから先は名もなき普通の市民のくらしや野の風景を描いて、人々に根差した素朴な「ロシア的」を表現しました。
画家自身が外に出て創作活動するべきだとの理念から「巡回美術展」などを実践し移動派と呼ばれました。
ムソルグスキーはレーピンとの交流もあり、「ロシア的」なるものの表現を試みる一人として尊敬していたそうです。

この肖像画をレーピンが描いたすぐ後にムソルグスキーは世を去りました。
有名な肖像画ですので、ムソルグスキーといえばこの肖像画が出てくることが多いのですが、
これは人が死を前にした特別な時の肖像画です。
鬼気迫る表現は、レーピンの筆の力を十分に感じさせる肖像画の傑作ではありますが、ムソルグスキーファンとしては、この肖像画が本人を代表する肖像となっていることに、少し不満があります。
もっと若い頃の、意欲に満ちて、しかも身だしなみに拘る洒落モノでもあったムソルグスキーの絵で残されていればと思うのです。